宮城・岩手 2月3日

朝、宿のスタッフに教えてもらった「アンカーコーヒー」へ行って朝食。鳥ハムと野菜のサラダ、パン、コーヒー、どれも美味しい。お店の人も店内も明るい雰囲気。食べてから、長く書き継いでいる文章に手を入れる。上の会では外国人たちの話し声が聞こえる。1時間ほどそうして過ごしてから、今日訪れようとしている陸前高田の佐藤たね屋さんに電話をする。しかし今日は所用で留守とのこと。たね屋さんには明日の朝訪れることにし、とりあえず陸前高田へ向かってみることにする。

陸前高田はここ数年、ずっと嵩上げ工事が続いていた。その経過はどうなっただろうと思っていたが、以前あった巨大な金属のコンベアみたいなものは消えていた。車で走って市内に入るとき気づかなかったのだが、すでに道路は嵩上げした土地の上を走っていた。小さい雨が降っていたので、嵩上げされた土地の上に新しくできた商店街「アバッセたかた」を訪れてみる。スーパーマーケットや菓子店、書店などいくつかの店が入り、その隣には市立図書館ができていた。利用者に混じって気仙地方(陸前高田と隣接する大船渡、住田を合わせてこう呼ぶ)の民俗についての本、金野静一著『気仙風土記』のオシラ様という神様についての話を読む。陸前高田を出る際、沿岸のかつての道の駅・高田松原(現在は震災遺構として保存)に止まろうとするが、工事のため今は敷地内に入れなくなっていた。その手前ならいいよと警備員の人が言うので、そこに止まり、手を合わせる。新しい堤防があり、海は見えなくなっている。

気仙沼に戻って昼食。昨日「ピンポン」の近くに見つけて気になっていた「喫茶マンボ」に入る。看板は派手なネオンカラーで店内は薄暗く、見た目がスナックのようで昨日は入るのに躊躇したのだが、入ってメニューを見てまた驚いた。メニューにはラーメンとチャーハン、キムチ、漬物。それにパフェ、コーヒーもある。せっかくだからとラーメンを頼んでみると、あっさりとしたスープにおそらく自家製のチャシュー、海苔がとても美味しい。満足して店を出て、海沿いの気仙沼魚市場の隣にある「気仙沼 海の市」と、その上の階にある移住・定住支援センターをのぞかせてもらう。広い開放的なスペースで、窓からの眺めがよかった。

そこから気仙沼の山の中腹にある、「リアス・アーク美術館」へ。ここでは東日本大震災の被災の記録の常設展示と、気仙沼の歴史や民俗を紹介する展示を見ることができる。また夜には「架け橋」でスタッフが主催する交流会があるというので、それに参加するため宿に戻る。この会は定期的に開かれているらしく、この日は「映画」がテーマ。気仙沼で生まれ育った人や、地元の学校で働く先生などが参加していて、僕もそこに混ぜてもらう。テーマによって、参加者の顔ぶれが変わってくるそうだ。今晩は男性ばかり。夜遅くまで、みんなが酒を飲みながら盛り上がっていた。