2010-01-01から1年間の記事一覧

「雪」

本郷のキャンパスで夕方暗くなってから講義棟の外に出ると、 懐かしい風景が見えた。 街灯の黄色い明かりに照らされて、雪が積もっているように見えたのだ。 けれどそんなはずはない。 雪が降るにはまだ早いし、だいたい真冬でも東京でこんなに雪が積もるこ…

友人の村上樹木さんが村上カーステレオ製作所を開かれましたので、 ここで改めてお知らせします。 近々引っ越されるそうで、さみしいかぎりです。 http://web.mac.com/angel_from_argentina/iWeb/MCS/03753997-64A8-4688-B18C-823086DE9BDC.html

場所と慣れ

ある場所や土地にたいする慣れとか親しみというものは、 いつ、どのようにして生まれるのだろうか、と考えることがある。 ただ長い年月が経過すれば、慣れてくるのだろうか。 そうかもしれないが、それだけではないと思う。 たとえば、あるマンションの一室…

上映会

10月15日(金)夜8時半から、 国立の「れら」というスープカレーの店で、映画の上映会をすることになりました。 上映後、なにか食べたりしながら、みんなで映画について雑談する予定です。 上映されるのは『日本心中』(大浦信行監督、2001年)。 …

9月11日

昨日の朝ラジオをつけたら、 9.11のテロ事件で父親と友人を亡くしたという声が聴こえた。 リスナーの投稿か何かだろうと思っていたら、 それはDJ本人の話だったらしい。 いま自分の耳に届いているその声が、9.11で近しい人たちを亡くした声だと知って、 遠い…

つれづれなるままに

冗談のように暑い日が続いている。 あほみたいに暑い。 実家の祖父は、毎日、「今日が一番暑い」と言い続けているそうだ。 思わず笑ってしまった。 家ではクーラーを使わないので、暑さに耐えきれなくなったときは、 ときどき吉祥寺のダーチャという喫茶店に…

「宗教」と日本人

ときどき「宗教」というものをいったいどう定義したものかと考えるのだが、 「宗教」っていったいなんなのだろうか。 とりあえず僕としての当面の結論は、 「宗教」というのは、 人間がコントロールできないものに対する人間の態度の取り方である、と思う。 …

『何も変えてはならない』

ユーロスペースでペドロ・コスタ監督の新作 『何も変えてはならない Ne change rien』を観てきた。 ペドロ・コスタ作品は、 フィクション/ドキュメンタリーという既存の境界を踏みこえるような作風が魅力的だが、 今回は何といってもタイトルが良い、と思っ…

『ミツバチの羽音と地球の回転』

座・高円寺で、映画『ミツバチの羽音と地球の回転』を観てきた。 『ミツバチ』は持続可能な社会へ向けたエネルギーシフトをテーマとして扱った映画だ。 映画の主な舞台は、原発建設問題で揺れる山口県の祝島と、エネルギー先進国であるスウェーデン。 スウェ…

前野健太

吉祥寺弁天湯の風呂ロックというライヴイベントで、前野健太をみた。 自分とたいして年齢もちがわないのに、こんなにすごいものを作れる人がいるのかと、驚き、感動した。 同時に、自分がとてもちっぽけに感じられた。 前野さんは銭湯に入る金もないとき、一…

映画の日だったので、ポレポレ東中野で『祝の島(ほおりのしま)』をみてきた。

歌について

すこし気持ちの沈んでしまった時は、歌をうたいたくなる 時には声に出して、時には静かに胸のうちで 歌はひとの気持ちを動かすことがある *** 気持ち、あるいは感情というのは、たんに精神的なものだけに関係しているのではなく、 身体にも結びついている…

『1973年のピンボール』

この本もかなり久々に読んだのだけれど、 こちらが年齢を重ねたせいか、 以前に読んだときよりも物語の輪郭がはっきりして見える。 前には読み飛ばしていたようなフレーズが、はっきりと目にとまる。 たとえばこんなところ 僕たちはもう一度黙り込んだ。 僕…

ライ麦畑のキャッチャー

サリンジャーが死んでしまったということもあって、 久しぶりに『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んでみた。 サリンジャーの良さというのが、僕にはいまいちまだピンとこないのだが、 加藤典洋さんが『敗戦後論』で引用していたフレーズはなんとなく好き…

渋谷のイメージフォーラムで『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』を観たけれど、 よかった。

「曲げられない女」

ついつい、『曲げられない女』の最終回をみてしまった テレビの連ドラなどここ最近あまり見ていなかったのだが、 菅野美穂の芝居がうまくて、これにはけっこう魅入ってしまった そういえば同クールに、『まっすぐな男』というやつもやっていた こちらは、面…

別れのとき

手元にあるハーモニカの教則本のなかに 『思い出がいっぱい』という曲の楽譜があり、 久々に歌詞をちゃんと読んだのだけれども、ひとつのフレーズが記憶に残った 『思い出がいっぱい』という曲は 「大人の階段上る 君はまだシンデレラさ」というフレーズで有…

チェルフィッチュの演劇

運良く、STスポットでチェルフィッチュの新作公演、 「わたしたちは無傷な別人であるのか?」を観ることができた 「運良く」というのは、 最近、演出の岡田さんの人気が出てきて前売り券が売り切れてしまっていたからだが、 当日券でなんとかもぐりこむこと…

最終講義

昨日、一橋大学社会学研究科の渡辺治先生の退官にともなう最終講義が行われた 講義のテーマは 「民主党政権と日本の行方ー利益誘導型政治の存続か新自由主義か、新福祉国家か」 である 渡辺教授の講義は、大学に入って初めて学問のすごさ、おもしろさを教え…

比喩の人

先日、加藤典洋さんの『日本という身体』という本を読んだ 加藤さんの専門である日本文学の作品を手がかりに、 日本とは、日本人とはいったい何か、を問うた本だ 僕はこの人のことは結構信頼していて、 これまでにも『アメリカの影』や『日本風景論』などの…