場所と慣れ

ある場所や土地にたいする慣れとか親しみというものは、
いつ、どのようにして生まれるのだろうか、と考えることがある。
ただ長い年月が経過すれば、慣れてくるのだろうか。
そうかもしれないが、それだけではないと思う。
たとえば、あるマンションの一室にひとりで何十年、何百年住んでいようと、
その場所にたいする親しみは湧いてこないのではないだろうか。
そこは、住んでいる人にとって、ずっとよそよそしいままであり続ける気がする。
すくなくとも自分の場合にはそうだろうと思う。
思うに、場所や土地にたいする親しみが作られるのは、
そこで過ごした友人や家族など、親しい人たちとの関係によっているのではないだろうか。
つまり、ある場所のまわりに、
親しい人たちと過ごした経験が積み重ねられはりめぐらされていくことで、
場の方も親しみを感じるものになっていく、ということなのではないだろうか。
自分と場所との関係が他の人たちとの関係を介して形成されていくということ。
このことが万人にあてはまるかどうかはわからないが、
そう感じる人も少なくないのではないか、と思うこの頃です。