呆れた

映画の日だったので、渋谷アップリンク
友川カズキ 花々の過失La faute des fleurs』という音楽ドキュメンタリーを見てきた。
友川カズキという歌い手については映画を見るまで知らなかったのだが、
友川さんというのはかなり個性の強い人だ。
こんな人あまり見たことがない。
服装からしても、まるで中原中也が現代に蘇ったかのような出で立ちをしている。
フォークっぽい哀しいギターを弾くのに、まるでデスメタルみたいにシャウトするから、
その組み合わせがすごいグロテスクで、
最初すこし気持ち悪くなってしまった。
なんだか人間の狂気に触れてしまったような、そんな気がして、すこし怖くなった。
なぜこの人はこんなことするのだろうか、
なぜ監督はこんな映画撮ったんだろうか。
***
そんなことを考えているうちに、だんだん気持ち悪さが消え、
むしろ、なんだか爽快に思えてきた。
なぜ気分が変わったのかよくわからないのだが、
こうまでして人間の奥底に肉薄しようとする友川と監督の情熱に感服し、
そして、あるいはこう言った方がもっと適切だと思うが、
あきれてしまった。
***
唯一残念だったのは、この映画を撮ったのが日本人ではなく、
フランス人のヴィンセント・ムーンだったことだ。
けれどそんなことはささいなことかもしれない。
映画を見終わってからしばらく、
自分がばらばらにされてしまったような気がしていた。