津山

先日、津山まで前野健太のライブを観に行ってきた。
津山にはTIES MUSICという団体があって、彼らがときどきおもしろいイベントを企画しているらしい。
今回はそこに前野さんを呼んだみたいだ。
実家から近い津山にもこういう人たちがいて、とてもうれしいと思う。
津山を訪れたのはかなり久々だったが、こんなにきれいな街だとは今まで気づいていなかなかった。
津山城跡の鶴山公園の桜も見事だが、
僕としてはむしろ、山に囲まれ、川と街が溶け合っている津山の風景がとてもいいと思った。
それはどこか京都を連想させるところがある。
前野さんのライブは地味庵というお店であった。
前野さんのライブは東京で何回も見ているのだから、
なにも実家に帰ってまで行かなくとも、と思われるかもしれない。
実際自分でもちょっとそう思っていたのだが、でも、やはり行きたかった。
なぜかというと、音楽に、東京と実家をつなげてほしかったからだ。
僕にとって音楽は、時間や空間を越えてその音楽を聴いていたときの自分を呼び戻してくれる、そんなものだ。
実家にいると、なんだか東京にいたときの生活とあまりにかけ離れていて、
地震の影響に対する緊張感も薄れていってしまう。
なんだか、二つの世界がまったく別のもののように思えてしまう。
そういうことは一面では望ましいことであるけれども、本当にそれでいいのかという気持ちもある。
東京で暮らしている間は、東京という大都市に対する疎外感のようなものを感じることが多かった。
けれども、この春から実家で暮らすようになって気づいたことは、
東京はすでに自分にとってもうひとつの故郷のようなものになっていたということだった。
だから多くの時間を共有してきた東京の友人たちと気持ちを共にしていたい、そんな思いがある。
そんなわけで、どうしても前野さんの歌を聴きたかった。
音楽に、東京を思い出させてほしかった。
東京と実家の生活をつなげ、
そして今の自分の生活と気持ちを、その歌に上書きしたかった。


そんなこんなで出かけた地味庵ですが、
前野さんは、猫背のいつもの前野さんでした。