声の伝え方と、服装について

6月15日、大阪の中之島の関電本社前で大飯原発再稼働に反対するデモがあったので、参加した。
着いてみると、正面玄関前に年配の活動家っぽい人たちがちらほら。
ハンガーストライキをしている人もいた。
ちょっと仲間には混じりづらい雰囲気だった。
うーん、けっこう盛り上がるかと思ったが、やはりこんなもんか…と落胆しかけたら、
社員通用口の方から大きな声が。
お、あっちの方にも人がいるのかと行ってみると、
けっこうな人が大きな声を出して再稼働反対の声を上げていた。
若い人もたくさんいた。
いわゆる「シュプレヒコール」の先導を駆っていたのが数人の若者だったので、
どうやらツイッターで呼びかけがあったはこの集団らしい。
とりあえずこの集団に加わってみることにした。
最初はただ突っ立っているだけだったが、
だんだん周りにつられて僕も声を出し始め、
しまいには結構大きな声になっていて、
途中で抜けるつもりだったのだが、雨のなか1時間半も叫び続けていた。
基本的には僕はふだん大きな声を出す方ではないし、
デモに対してもずっと懐疑的だったが、
今回はわりとすんなり参加することができた。
それはもちろん原発再稼働という事態が切迫していたということもあるが、
それ以外に今回のデモに固有の理由があったように思う。
1.先導役が声を出す際に拡声器を使わなかったこと
拡声器はどうしても歪んだ音になるし、ハウリングもするし、しゃべっている人の声も結局あまりよく聞こえない。
声がなんだか攻撃的に聞こえるし、周囲の人と距離ができてしまう。
だから今回地声で抗議したのはよかったと思う。
地声の方が会話のニュアンスも伝えやすいし、呼びかける側にもより伝わりやすいのではないだろうか。
デモの参加者も同調しやすくなる。
(先導役に一人パンクバンドのボーカルをやっていそうな女性がいたが、彼女の声はかっこよくてよく響いた。シンガーがたくさんデモに参加してくれたらいいな、と思った。)
2.ふつうのこぎれいな服装で行ったこと
デモに参加する際の服装も非常に大事であると感じた。
筋金入りの「活動家」の人たちは、基本的にはぼろぼろだったり、おどろおどろしかったり、
いわゆる一般人とは異なった身なりをしていることが多い。
もちろんそれは彼ら/彼女らの趣味だったり信条だったりするわけだから、全面的に否定するわけにはいかないが、
そんな格好をした人ばかりだと、
相手からやはり抗議の声を上げているのは特殊な一部の人間だと思われてしまうし、
デモの主張には同調する「一般人」も参加しづらい。
そうすると抗議の輪が閉じてしまう。
それはなんとしても避けねばならない。
だから今回先導役がスーツを着ていたり、
参加者におしゃれな若い女の子がまじっていたりしたのはよかったと思う。
こういう雰囲気ならどうしようか迷っている「一般人」も混じりやすい。
声の伝え方と、服装。
とりあえずこの二つが、今回のデモに参加して感じたことだった。
デモの目的は、自分たちの主張を公にアピールし、広めることだと思う。
だからデモの輪を閉じることは、一番避けなければならないことだ。
今回のデモには広がりがあるように思えたし、
その点で可能性を感じる部分があった。