『内部被ばくを生き抜く』

鎌仲監督の新しい作品『内部被ばくを生き抜く』を見ました。
この作品は3.11の後に現実の状況が切迫するなかで作られたので、
これまでのものよりもアクチュアルな役割を与えられているように思う。
被災地の人のみならず、日本人全体にとって内部被曝の危険が現実のものとなるなかで、
私たちはどうやって生きていけばよいのか、
その監督自身の問いが如実に表れているように思える。
映像のなかでは肥田舜太郎、鎌田實、児玉龍彦、スモルニコワ・バレンチナといった
放射線の専門家たちが、現在の状況を語っている。
彼ら/彼女らの話はもちろん興味深いのだが、
僕が一番魅力を感じたのは、福島・二本松のお寺の幼稚園の園長さんの話だった。
彼はいろいろな理由から家族と福島に残ることに決めたのだが、
その話し方がすごく落ち着いていて、静かで、ゆっくりとしていて、
しかしその目は爛々として、光を失っていなかった。
その目が、とても印象に残った。
同時に、鎌仲さんはこういう「ふつうの人」から、ほんとにかっこいい人を見つけ出すのがうまいよなと思った。
もともとこの作品のタイトルは「内部被ばくを生きる」だったが、
『生き抜く』に変更されたようである。
そこからは、鎌仲さんの強い決意が感じられた。