倫理の窮屈さ

鶴見俊輔「倫理への道」(『日本人は状況から何をまなぶか』所収)より。

倫理なしに生きることは、むずかしい。
こうすることが正しいという直観を私がもつとき、私は、いまの状況をこえて、別の状況をつくりたいと思い、そこにむかって進みたいと思う。
私が自分の内部で、そう感じるとしても、それは、私内部の感じであることにとどまらず、そのように他の人も感じてほしいという願いをともなっており、もし私が口に出して「こうすることが正しい」と言うとすれば、それは、私にとってどんなに心外であっても、他人に対するそれなりのおしつけがましさをともなう。
そのことは、私にとって、倫理がもっている、いやな側面である。倫理は、残念ながら、私一個の決断と行動にとどまらない。

難しいことを、すごくわかりやすい言葉で説明していると思った。