音楽

音楽とは不思議なものだ。
ただの音のつらなりであるのに、
ある種の宗教性すら感じることがある。
ここで宗教性というのは、人間の孤独を癒してくれる、というくらいの意味だが、
どれほど孤独を感じている時でも、
ある種の音楽は聴く者をその世界の中に連れて行ってくれる。
音楽の世界が、ふっと自分を抱きとめてくれる。
僕にとっては、それは言葉がのった音楽なのだけれど、
大瀧詠一の歌もそんなもののひとつだ。
最近、彼が亡くなってから熱心に遺されたものを聴いているが、
全然悲しくならない。
どこまでも伸びやかに高く上がっていく声は、もう生前から半分この世界の外にいたのだろうか。
大瀧さんの歌のもつ、底抜けの明るさ。