時間

終わりへ向かう時間は、いつの間にか終わっていた。
その最後が近づくにつれ、時間の密度は強いものになっていった気がした。
終わりに近づくにつれ、気持ちが高揚した。
その先には何かがあるような気がした。

終わるその時、そこには何もなかった。
終わりに向かっていた時間に連続して、
そのまま「終わりの後」の時間が始まっていた。
終わりに向かっていた時間は、いったいどこに行ってしまったのだろう。
いや、本当は「終わり」などなかったのだろうか?
しかし、確かに、そこにあったあの時間は、
終わりへ向かうプロセスとともに、消滅させられたようだった。

今は、異なる時間が始まっている。
あの時、何が終わりへ向かっていた時間を終わらせたのだろう。
消えてしまった時間の中に、もう戻ることはできない。
僕は、まだ新しい時間の中に、浮かんでいる。