東京 12月25日

12月25日、陸前高田と仙台からの帰りに、
東京の西神田にあるギャラリー、nuisanceで友部正人さんの歌を聴いた。

友部さんの「日本に地震があったのに」の演奏がとても激しくて、
友部さんの声もギターもどんどん大きくなっていって、
そうなればなるほど、僕は悲しくなった。
もしかしたら、狭い会場いっぱいにいたお客さんもそうだったのではないか。
何も確信はないけれど、そう思った。

その夜は終電で京都まで帰らなければならなかったので、
後半の一曲目が終わり、二曲目が始まるところで外に出た。
友部さんが「愛について」を歌い始めたところだった。
歌の中で後ろ姿を見せる二人の風景に、自分も重なったようだった。

水道橋から総武線に乗り、最終の新幹線に乗った。
乗客はまばらだったが、若者の姿が多かった。
銘々に東京でクリスマスを過ごし、住む場所へ帰っていくのだろうか。
あるいはこれから、誰かとクリスマスを過ごす人もいるのかもしれない。
慌てて夕食を食べる時間もなかったので、
僕は車内で、駅の売店で買っていたサンドイッチを食べた。

京都駅に着くと、市バスの運転は終わっていた。
華やかな京都駅はもう暗くなっていて、
唯一残っていた、0時発の深夜バスを、地下で待った。
23時50分、バスを待つ人の列に並ぶ。
少しずつ人がやってきて、僕たちはやってきたバスに乗り込む。
そして一人ずつ、京都の街の北東の、それぞれの住む場所で降りていく。
帰ってきてからも、旅の続きを、僕はまだ持っているようだった。