純潔と差別

人類が一つの場所になかなか定住しなかった大きな理由の一つは、疫病にあった。定住することで全滅の危険があることを、経験的に学んだのである。共に生きるということは、ある程度の汚れを許容するということでもある。どこまでも純潔を求めるところから差別が生まれる。あらゆる差別は、程度の問題を、選択の問題だと読み替えることから生まれてくる。

平川克美『共有地をつくる』ミシマ社、2022年、2頁)