この頃

夏になり、家の軒下に朝顔のため屋根まで紐を張った


不思議なもので
朝顔は、誰に案内されるでもなくその紐を自分で見つけ出し、それに巻きつき
するすると屋根の方に向かってのぼっていく
朝顔は、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の話を想起させる様子で、
まっすぐに、はるか上までのぼっていく


ところで、紐を張り花はまだかと待っているが、いっこうに花が咲かない
数日前につぼみを見たがあれはいったいどこにいったかと思っていたら、
あるとき気づかされた
すっかりこんなことは忘れていたのだが、
朝顔の花が咲くのは朝だけで、それに一度咲いたらその花は萎んで枯れてしまうのだ


いつも昼ごろになってやっと花の様子を見に行く自分が
朝顔の花の咲いているのを見られないのは当然のことだった