哲学と人類学

人類学という学問の魅力が、今まであまりよくわからなかった
けれども最近、それがやっと少しわかってきた気がする
その目指すところは、哲学とそれほどちがわないのではないか、と思っている


哲学は、〈今、ここ〉にいる自分の思考だけを頼りに、人間や世界について考える
哲学には、どんな前提の知識も必要とせず、1から自分一人で考える力と魅力がある
同時にその困難もある


人類学は、〈今、ここ〉にいる自分の思考以外のものを頼りとする
人類学者は世界の様々な場所に出かけていき、人類の足跡について調査をする
人類学者は〈今、ここ〉にいる自分からはもはや失われてしまった、人類の痕跡を探しに、
まだその痕跡が残っている場所を訪れるのだ
その痕跡から〈今、ここ〉にいる自分を明らかにしていくために


哲学も人類学も、ちがうのは何(いつ)を主要なヒントにするかということだけで、
同じように人間というものについて考える学問なのだろうと思う