最近やっと

最近になってやっと、
開沼博著『「フクシマ」論 原子力村はなぜ生まれたのか』(青土社)を読んだ。
この本は開沼さんの修士論文だということで、
全体的に野暮ったい印象もあるけれど、
修士論文というのは本質的にだいたいそういうもので、
全体としては福島について多くを教えてくれる本だと思う。
特に驚いたのは、あの「DASH村」が、福島第二原発に近い浪江町にあったということで、
そんなことはぜんぜん聞いたことがなかった。
そしてそれはおそらく、著者も指摘しているように、
「牧歌的な村」というイメージ作りのため意図的に隠されていたのだと思われる。
全体としては、
改めて原子力という問題の複雑さを突きつけられ、
映画『六ヶ所村ラプソディ』を見た後と同じような、
すっきりしない読後感をもった。
けれど、その「すっきりしなさ」こそ大切にしなければならないのだろうか、とも思う。