自分たちで作る

自分たちで何かを作るってことはね、要するに政府に頼らない。〔中略〕自分たちで世界を作らなくっちゃ。自分たちで作る世界の形というのはいろいろあると思うけどね。一つは、自分の言葉を使うこと。

近ごろ、自分の言葉を話せなくなってるの。〔中略〕抽象と概念でしゃべってる。昔の庶民は抽象語、概念語ではしゃべらなかったの。自分の生活語でちゃんと自分の考えは短く言えてたの。今の人はね、普通の市民だけではない、テレビに出てくるいろんな解説者にしても、政府の役人にしても、総理大臣にしてもしゃべるのが長い。

〔中略〕

だからね、自分の言葉を持とうよ。マスコミ語でしゃべらない、自分の言葉で喋る、たたかれることを恐れない、ということをやっていきたいですね。生活語でね、なるべく。

渡辺京二『肩書きのない人生』弦書房、2021年、55〜60頁)